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ファンタジーの好きな子どもにお薦めの絵本

『銀杏堂』 橘 春香 


[あらすじ]

銀杏堂はとある大学通りに面した骨董屋です。売っているものは古い皿や掛け軸のようなありきたりの骨董品ではありません。店主の高田さんというおばあさんが自分でとってきた世にも珍しい品物です。小学校に通い始めたばかりのレンちゃんは、銀杏堂がどういうお店なのかに興味津々です。

ある日、勇気をもって銀杏堂に入ってみると、「ここは子供お断りの店なんだけどね」と高田さんに注意されてしまいます。レンちゃんは勇気を振り絞って銀杏堂に入り、高田さんに声をかけようと思っていたから、そんな風に言われたことがショックで泣き出してしまいました。

泣いているレンちゃんを見て、高田さんは悪いことを言ってしまったと反省し、レンちゃんに店に飾られた様々な珍しい商品とそれを手に入れるために高田さんが経験した夢のような物語を聞かせるのでした。

「文字虫」「いなずまのかけら」「朝露のクモの巣ネックレス」など普通ではない骨董品の普通ではない高田さんの物語に小さなレンちゃんはどんどん魅了されていくのでした。


[読書感想文]

骨董品は生活必需品ではありません。無くても生活をする上で困らないものです。しかし、無くてはならないものを生活必需品と呼ぶのなら、それは一体何なのでしょうか?

無くてはならないものは人によって様々です。だから私たちには、どこからどこまでが生必需品なのかなど定義は出来ないはずです。小学生のレンちゃんにとってのそれはぬいぐるみでした。無駄なものか有益なものかは自分で決めることなのです。

自分にとって大切なものが何か分かったときは、何も語らない「もの」に代わって、その歴史や意味を誰かに教えて上げましょう。上手にそれを伝えることが出来れば、それは価値のあるものにかわるでしょう。

私たちは、「もの」を売るのではなくストーリーを売るのです。そして、それは「もの」を買うのではなくストーリーを買うと言い換えることも出来るのです。そんな視点を持つことは、現代の大量生産・大量消費の社会に生きる私たちにとって大切なことなのではないでしょうか。高田さんと小さなレンちゃんはそんなことを私に教えてくれました。


[おまけ]

・「銀杏堂」は2016年に発売された児童小説ですが、2021年に「銀杏堂 スフィンクスのつめ」という新刊も出ています。この本が面白ければ新刊を読んでみるのもいいと思います。

・全195ページで、文字も小さく、漢字の難易度も高くなっているので小学校の高学年向けの本だと思います。

・現実では絶対におこらないファンタジー要素の強い作品ですので、理系の子よりも、空想好きな文系の子に向いている本だと思います。

では、今日はここまで!!
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